毎日がもふもふ

新規事業に特化した渋谷の開発会社mofmof inc.を経営するエンジニア兼代表・原田敦のブログ

市場は「なんかいい感じにしてくれる」エンジニアを求めているのではないか

エンジニア不足、エンジニア不足と言われて久しいですが、日本でのプログラミングスクールの先駆けとも言えるTECH::CAMPさんのサービス開始が2014年なので、今や8年が過ぎようとしているわけです。

ともすると、市場に既にベテラン級のエンジニアがわんさかいてもおかしくないんですが、今でも「エンジニア採用できない」という声が絶えることないように見えます。はて?どうしたことだろうか、と思ったので今市場でどんなエンジニアが求められているのかを考えてみました。

高い技術力よりも「いい感じ」力を求めている

エンジニアというと、技術を駆使して問題解決をするスペシャリストというイメージがあり、技術力が高い=優秀という認識を持つのが自然です。実際、技術力が低くてまともにプロダクト開発出来ないようでは論外だし、技術的な難問の攻略が命運を分けるケースはあるにはあります。

しかし、実際には開発プロジェクトの失敗事例は、技術力の問題と言うよりほとんどが人間関係に起因する問題だったりします。

  • 決まったはずの仕様を後からひっくり返された
  • バグばっかりでプロダクトが全然成長しない
  • 仕様かバグかで主張が対立して信頼関係が崩壊する
  • 言った通りにしか作ってもらえない

などなど、開発現場に関わったことがある人なら一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。こういったトラブルは「なんかいい感じにしてくれる」エンジニアが一人いると圧倒的に減少し、なんとなく手詰まり感のあった開発チームがスルスルと回り出します。

そして市場が求めているエンジニアとはつまるところこの「なんかいい感じにしてくれる」エンジニアなのではないかと考えました。

なぜ「いい感じ」が必要なのか

なぜ「いい感じ」が必要なのかを説明しようとすると、開発手法の話に言及する必要がありそうです。

我が国では、システム開発の現場は「ウォーターフォール型開発」という手法により運営されていました。これは、最初に何を作るべきかを定義し、それを工程ごとに徐々に詳細化しながら仕様書として定義し、完成した仕様書を元にシステムを開発するというアプローチになっており、一見非常に合理的な手法です。

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引用: 仕事内容|業務内容|採用情報|三菱UFJトラストシステム株式会社

しかし、システム開発業界の歴史の中で、この手法には大きな欠陥があることが明らかになりました。一つは仕様は後から必ず変わってしまうこと、もう一つはシステムの複雑性が要因で仕様書と実際のシステムとを同一に出来ないことです。

仕様書を基準にして作るべきシステムの範囲と責任が決まる、という大前提に成り立っている方法なので、そもそも仕様書が変動してしまい厳密に正確に記述できないとなると、当然崩壊してしまうわけです。

そこで生まれたのがアジャイル開発です。これは、従来のように先に仕様を全部決めてから作るのではなく、作る単位を小さくして、その都度その都度議論を重ねて最適な形を作っていくというアプローチです。前述した仕様書の問題をいくらか解決してくれます。

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引用: アジャイル開発とは?主流の開発手法「スクラム」も…|Udemy メディア

ところが、よしこれで万事OKだと!というわけにもいかないんです。

従来は顧客から要件をヒアリングして何を作るべきかを定義する「上流工程」と、実際にそれを開発してシステムを構築していく「下流工程」という区分けがあり、この上流と下流を媒介するのが仕様書でした。

仕様書があるおかげで、上流下流間でのコミュニケーションは簡素化されていましたが、仕様書の絶対性が弱くなるほどに、人と人との対話でこれを埋めなくてはならなくなりました。アジャイルソフトウェア開発宣言にも「プロセスやツールよりも個人と対話を」と記述されているのはこういった背景があります。

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つまり、ウォーターフォール型開発にせよ、アジャイル開発にせよ、プロジェクトの成功の命綱を握っているのは依然「人」であるということです。本来手法論というものは人間に依存する部分をできる限り減らして、誰がやってもある程度常に同水準のものが出来上がるようなものであるべきですが、残念ながら我々IT業界はまだまだ未完成なのです。このことが腹落ち出来ていなければ、アジャイル開発を導入しようが、どんな便利なツールを使おうがうまくいきません。

ではどうしたら良いのか?そう、「なんかいい感じにしてくれる」人が欲しくなるのです。

このポジションにはPM(プロジェクトマネージャー)を置くのが定石で、とっても優秀なPMがいればそれだけでけっこう上手くいきます。ただ現実はそう甘くはなくて、優秀なPMはそうたくさんいるわけではないのと、mofmofのように2,3名のエンジニアが一つのプロジェクトを担当する小規模チームでは常に専任のPMを置くのはコスト的にも採用面でもやや現実的ではありません。

なので小規模チームでは必然的に誰かがPMのような動きを兼任する形が多くなります。だったらエンジニアがそれをやってしまえばビジネスサイド・開発サイド間のコミュニケーションは一気通貫になるし、少人数で上手く回るのでコスト的にもメリットは非常に大きい。つまり市場からすると喉から北斗百裂拳が出るほど欲しいエンジニアになるわけです。

「いい感じ」とは一体何か

PMBOKとかをちゃんと履修しておけば、もっと理路整然と説明出来そうですが、なんせ雲のジュウザのごとく我流で突き進んで来てしまったので自分の言葉での説明を試みます。

  • アジャイル力
    • アジャイルイベントの目的を深く理解し、ただしく実行出来ること(形式上やっているだけではダメ)
    • プロダクトオーナーが何を求めていて、何に不安を感じているかを理解して仕事が出来ること
  • 思考力
    • 自分が考えていることを正確に言語化して伝えることが出来る。もやもやした気持ちや複雑なものごとを言語化して整理出来る
    • 拮抗する選択肢の中から、いずれかを選択し主張する能力。何が正しいか分からない状態でも仮説を元に一つの結論を示すことが出来る
    • 他者の主張を類推し素早く理解できる。会話を重ねながらものごとを深く理解することが出来る
    • 課題の本質を見抜いて、適切な対処の方法を提案し建設的な議論が出来る
  • プロジェクトマネジメント力
    • 直近の開発計画だけ見るのでなく長期の視野でも計画を見据えることが出来ること
    • リスクを予見して問題になる前に適切な対策が打てる
    • スケジュールに合わせてスコープと期待値を調整し、問題なく着地させることが出来る
  • コミュニケーション力
    • 他人の感情に惑わされず、冷静に議論を正しい方向に導いていける
  • ビジネス力
    • 開発しているプロダクトの意義や目的を深く理解し、ビジネス的な目的の達成に寄り添った開発ができる

アジャイル開発を前提とした言葉も用いられていますが、本質的にはウォーターフォールもアジャイルも関係ないスキルが列挙されています。これらのことがきっちり出来ていればどちらの手法であっても関係なく上手くこなせるはずです。

深堀りしていけば、一項目ごとに本一冊書けるような命題なので、興味があれば関連書籍を手にとってみてください。

mofmofでの話

上述した観点ですが、実はこれらのほとんどがmofmofでの評価基準としてそのまま定義されています。mofmofでは技術力が高いのは当然として、それ以外の能力も非常に重視されています。

mofmofのエンジニアは一般的なエンジニアに比べると求められる範囲が非常に広く、人によっては「なんでエンジニアがここまでやらなきゃいけないの?」と思われるかも知れません。mofmofがここまで求める理由は、我々が「システム開発をすることでお金を得ること」を第一の目的としていないからです。

ぼくはmofmofという会社で「テンションが上がるものづくりの仕事を生業にする」という言葉を掲げています。売上も大事なんですが、それ以上に大事なのは「我々がいかに楽しくやりがいを持ってものづくりの仕事を出来ているか」です。

言われたものをただ作るのではなく、エンジニア自身が深く考えて関わることで、プロダクト開発に対して真に主体的で楽しい開発が出来ます。それこそが「テンションが上がるものづくりの仕事」を実現する一要素だと考えています。

オレ/私もそういうエンジニアになりたいなーって思った方は弊社への応募をご検討くださいまし。

www.mof-mof.co.jp

www.wantedly.com

エンジニアだってマーケティングの基礎を学びたい!初心者が読むべき書籍3冊

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ごきげんよう。mofmofのエンジニア兼代表取締役のはらぱんこと原田敦です。

mofmof inc.では今期は特に新規事業の立ち上げに力を入れて数々のプロダクトを生み出してきた。mofmof inc.はものづくりの会社で、メンバーの8割がエンジニアの会社。なので、新規事業の立ち上げもエンジニアが担当している。

新規事業立ち上げは数多のスキルが要求されるお仕事で、事業開発・開発・マーケティング・グロース、と立ち上げ期は幅広い仕事を少人数チームで、あるいは一人でやることも珍しくない。

ぼく自身、もともと普通のWEBエンジニアとしてキャリアを積み上げてきたので、マーケティングのことはチンプンカンプンだったけど、素人なりに基礎を学んで、少しずつ理解して自分でもある程度は出来るようになった。

今回は、ここまで来るまでに読んだおすすめの3冊の書籍を紹介したい。

なぜエンジニアがマーケティングを学ぶか

その前にエンジニアがマーケティングを学んだ方がいいのか、理由を説明しておきたい。

ある程度経験を重ねて、自分でアプリケーションを組めるようになってくると「自分のサービス」を持ちたいって欲求が生まれてくることは自然なことだ。かくいう、ぼくもその一人だった。

一般的によく誤解しがちなんだけど「いいアイディアがあって、それを形にしたら儲かる」という幻想がある。ぼくにもあった。だから、身近のエンジニアで収益を上げている例を見ると「そんなアイディアがあったか!うまくやりおったな…!」とか思ってた。その裏にある苦労も知らないで。

実際に自分のサービスを作ってリリースしてみれば分かるんだけど、実は、作ったところで誰も見向きもしてくれないことがほとんど。SNSで繋がってる周りの友人の数十人が一度だけ使ってくれる程度が関の山。

特にBtoBのサービスは自分の友人にターゲットとなる人でもいないかぎり、最初のユーザーを獲得することすら困難。作ったサービスの価値を検証するために顧客を見つけたいけど、検証に協力してくれるユーザーにすらたどり着けなかったりする。

そこで、マーケティングの知識があれば、あらゆる手を尽くして顧客にリーチ出来る可能性が高めることが出来るようになる。

面白いものとか、いいもの作れば売れるでしょ

昔、収益を目指さずネタに走ってバズらせて認知を獲得しようっていう作戦で、弊社のエンジニア橘さんと一緒におバカアプリを作ったことがある。

このDoyaaaというアプリ。

http://applion.jp/android/app/com.doyaaa.autodoyaa.autodoyaa/

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スタバの近くを通ったらだけで自動的に「ドヤァ」ってつぶやいてしまう画期的なアプリなんだけど、これがまた全然ダウンロードされなかった。いまや開発者コンソールに入れないので分からないけど10ダウンロードもされなかったんじゃないかと記憶している。

この通り、下手なやりかたをすると笑えるほどユーザーに届かない。莫大な広告予算があれば少し話は変わるけど(結局垂れ流すだけなんだけど)、普通はそんな都合の良い話はない。

リスティング広告回せばいいじゃん

そう思っていた時期がぼくにもありました。

残念なことに下手な豆鉄砲でリスティング広告回しても、そもそも届けるべき人に届いていなければコンバージョンしない。とっても残念なことにね。

toBかtoCとか、商材にもよるけど、リスティング広告は思った以上にコンバージョンしにくかった。実際に自社で運営しているサービスではコンバージョンの90%くらいが自然流入だったりする。つまり、実はお金があったって簡単に解決する問題じゃない。

エンジニアがマーケティングを学ぶのにおすすめの書籍

周りにゴリゴリにマーケティング出来る人がいれば教わるのがベターだけど、まあそんな恵まれた環境はそうそうない。そこで、これだけ読んで実践すれば、マーケティング素人のエンジニアでもマーケティング入門レベルまでいけるよって本を紹介する。

①沈黙のWebマーケティング − Webマーケッター ボーンの逆襲

②Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書

③沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘

①沈黙のWebマーケティング − Webマーケッター ボーンの逆襲

SEO・WEBライティング・コンテンツマーケティングあたりの基礎的な知識を、マンガとストーリーを織り交ぜて教えてくれる書籍。カジュアルな本だけど、マンガだけでなく、ちゃんと網羅的な解説もついているので本当によく出来た書籍だと思う。全力で推せる。

ボーン・片桐という、世界最強のWEBマーケッターが、オーダー家具の「マツオカ」をマーケティングで救う話なんだけど、40kgのパソコンを普段使いしていたり、パソコンが熱風や閃光を放ったり、キーボードを叩いただけで凄まじい風圧の衝撃波が発生したり、なかなかムチャクチャな展開が面白い。もはやマーケティングの書籍とは思えないくらい。

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引用: 夜明けのSEOペナルティ解除 | 沈黙のWebマーケティング https://www.cpi.ad.jp/bourne/story/seo-recovery/

また、コンテンツ配信のためのSNSアカウント運用についても具体的なやり方が書いてある。ぼくは、これを個人アプリの方のマーケティング施策としてやっている。

結果、Twitterで1,600フォロワーを獲得して、情報の配信 => アプリダウンロードという導線の構築に成功した。1,600なんて大した数字じゃないけど、安定的にユーザーを供給できる基盤になったので十分価値はあると思う。

ちなみに、実はこの本買わなくても読める(ぼくは書籍は全てKindleで読みたいから買ったけど)。

www.cpi.ad.jp

②Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書

小手先のSEO対策は通用しなくなって久しい。metaタグにキーワードを羅列するとか、大量の被リンクを獲得するとか、そんな単純な施策は今のGoogleでは通用しないし、むしろペナルティを食らってしまう。

そこで今はどういう流れなのかと言うと、いかにユーザーにとって役に立つコンテンツを発信して自社の製品を知ってもらうという戦い方が主流だ。つまりSEOとコンテンツマーケティングは切っても切れない存在。

正直言って、この書籍は具体的な情報が圧倒的に不足している。この本はコンテンツマーケティングのアウトラインを紹介しているのに過ぎないので、これ単独ではコンテンツマーケティングを実践するのは難しいと思う。

だけど、基本的なマーケティングの設計で何をすべきかや、コンテンツマーケティングにはどんな選択肢があるのかも知ることが出来るので、読んでおいて損はなかった。

③沈黙のWebライティング —Webマーケッター ボーンの激闘

上記の「沈黙のWebマーケティング − Webマーケッター ボーンの逆襲」の続編。

書籍名にWEBライティングって入っているけど、SEOの知識やオウンドメディアの設計の仕方、コンテンツをバズらせる演出など、ライティングに限らず包括的な知識を学ぶことが出来る。

温泉旅館「みやび屋」を舞台に、再び主人公のボーン・片桐がWEBライティングのコンサルティングして行く話なんですが、今度は暗殺されそうになったり、その仕返しに「フィードバック・ループ」とか叫びながら、物理で殴って解決したり、相変わらずのムチャクチャな展開で、WEBマーケッターとは一体なんなのかって気持ちさせてくれる。

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引用:今、すべてを沈黙させる・・・!! | 沈黙のWebライティング https://www.cpi.ad.jp/bourne-writing/eternal-writing/

最後のオチも、えええええええええええええええ!!!??ってなる。

例によってこちらも買わなくても読める。

www.cpi.ad.jp

まとめ

上記であげた3冊を全て読んで、出来ることを愚直に実践してみれば、WEBマーケティングの入門者くらいにはなれる。

「自分で作ったサービスを世の中の人に知ってもらって、多くの人に価値を届けたい」

それを実現するために、エンジニアであってもマーケティングの基礎を学んで試行錯誤してみることは、作り手しても大きく成長していくことにつながるはずだと思う。

人生の目的は何か?個人的なビジョンの見つけ方

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ごきげんよう、mofmof inc. エンジニア兼代表のはらぱんこと原田敦です。

ありがたいことに弊社は2020年4月から第6期を迎えることになりました。会社を経営しているといろんな困難にぶつかることがあったりして、時折「あれ、オレなんでこれやってるんだっけ?」って気持ちになることがある。そんなときは、一度立ち止まって自分が本当に何をしたいのか考え直したりしてる。

大体年1回くらいこういうタイミングが訪れるので、だんだんこなれてきたから言語化してみたい。会社のビジョンを定義してゴールを共有しよう!みたいな文脈じゃなくて、自分は個人的にどうしたいのか、って目線での話をしたい。

なぜビジョンを見つける必要があるか?

「ビジョン」を言い換えるなら「自分がどうありたいか」「自分が本当にやりたいことは何か」ということだと思う。それを知ることで自分にとって何が幸福なのかを知ることが出来て、その方向に進むための行動は正しいという根拠になるので、人生の選択に迷いにくくなる。

さて見方を変えると、こんな意見も出てくるのではないかと思う。

「ビジョンなんて必要なくない?ちゃんと食っていければそれで良くない?」

その考え方は誤りではない。ぼくは幸福とは段階的に存在しているように捉えている。ある幸福が満たせた時、その先には別のさらに大きな幸福がある。

食っていければ良い、という価値観はマズローの欲求5段階説の「安全欲求」に当てはまる。この「安全欲求」は下から2番目の低い位置にあって、 実はこれを満たされたら、更に上の欲求を満たしたくなるよねという話。

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マズローの欲求5段階説を図付きで解説!各段階に合わせたサービスも紹介|ferret

人は幸福を最大化する行動をとる生き物で、原則的に次の段階の幸福を求め続ける。登り続けるその段階が多ければ多いほど幸福だと言えると思う。つまり自身が登る道筋を知っていれば、より高く、より早くいけるということになる。

お金持ちなら幸福か?

一般的に「お金があれば幸福でしょ?」と容易に考えがちだけど、これも誤りではないが十分ではない。

私は成金の典型とも言うべきとても大きな買い物をした。イエローのランボルギーニだ!もう全てが素晴らしかったが、それでも心からの満足を与えてくれるものではなかった。

心に満足を与えてくれるもの、それは Rubyのプログラミングであり、 Basecampを構築することであり、 Signal v Noiseに投稿したり、写真を撮ることだった。つまり、今まで何年にもわたって続けてきた自分の性に合ったライフスタイルそのものだった。

引用元: 私が億万長者になった日ーーRuby on Railsの生みの親が見つけた人生で「最良のもの」 – BRIDGE(ブリッジ)

原文: The day I became a millionaire - Signal v. Noise - Medium

これはRuby on Railsの生みの親であるDHHことDavid Heinemeier Hansson氏の言葉だ。

ぼくは大してお金持ちでもないし、DHHに比べればミジンコ、いやミトコンドリアくらいのもんだけど、多少頑張れば大抵の欲しいものは買える。でも、自分の収入が上がるのに反比例して欲しいものはなくなっていった。

高くて広くてイケてる家に住みたいわけでもないし、高級レストランで贅沢したいわけでもないし、バケツいっぱいのイクラを食べたいわけでもないし、DHHのようにランボルギーニを買ったりすることはない。なんなら毎週末に500円分くらいのスナック菓子を買ってNetflixを観ながらダラダラ過ごすだけで至上の幸福ですらある。

お金で得られるのは、より上の段階の幸福を目指すための土台となる部分だけでしかない。いくらお金を持っていてもそれほど幸福にはなれないけど、お金がなければ最低限度の幸福を得ることが出来ないという性質のものだ。

ビジョンを見つけるのは難しい

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自分がやりたいことは自分自身が知っていると思いがちだけど、案外そうでもない。人は生きていく中で周囲の色んな価値観に左右されながら生きている。隣にいる同僚がマイホームを買ったら自分も欲しくなったりするし、どこぞやのIT社長が美女芸能人と結婚したら、IT社長に憧れたりもする。ところで朗報だが2019年の7月頃、石原さとみの隣が空いたという情報があるぞ。

例えば、ぼくが高校生のときに友人が250ccのバイクに乗っていたのをみて、自分もどうしてもバイクが欲しくなって、親に頼んで100万近くのローンを組んで買ったことがある。当然免許を取るにも10万円以上かかった。ところが実際に手に入れてみると、交通手段として乗ったりはするけれど、ツーリングに行くとかカスタマイズするとかを一切しなかった。正直冬は寒いし、夏は暑いし、つらいことづくめだ。唯一のメリットといえば、友達や女の子の前でドヤれることくらいだ。

結局18歳で車の免許を取ってからはほとんど乗らなくなった。バイクは自分にとってテンションが上がるものでも、好きなことでもなかったということだ。こういった体験は他にもあって、今自分が渇望しているものが、本当に自分にとって価値があるかどうかは疑うべきだと言える。

どうやって本当にやりたいこと=ビジョンをみつけるのか?

自分のビジョンを見つけるには、以下2つのことについて自分に問いかけてみると良い。

  1. もし今1兆円の資産があって一生働く必要もないとしたら何をしているだろうか?
  2. 過去の自分がどのような選択をしてきたか?

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1. もし今1兆円の資産があって一生働く必要もないとしたら何をしているだろうか?

生活のことを何も気にしないで生きていける状況下で、自分がやっていることこそ自分が本当にやりたいことだと思う。

以前に会社のミッションを定義しようと思ったとき、自分が本当にやりたいことは何か言語化しなければならなかった。そのときやったことは、「もし今1兆円の資産があって一生働く必要もないとしたら何をしているだろうか?」を自分に問いかけてみることだった。

結果、以下のように言語化されることになった。

すると、次の新規事業の製品のプロトタイプを開発している自分が想像できた。 「世界を変えたい」とか「ビッグになりたい」とか「誰かが抱えている深刻な問題を解決したい」といったビジョンもとても素敵なビジョンではあるものの、ぼくにとっての原始的な欲求は「作る」ことでした。

「新しいテクノロジーを使って、他の誰もやっていないようなユニークな製品を作り、使う人をハッピーにする体験こそが原点であり、それに取り組み続けている組織ってめっちゃカッコいい!」ぼくはそう考えています。 ここにおもしろい技術がある。 だからこの技術を使って、おもしろい事業を作りたい。 ただシンプルにそれを追求したい。

www.mof-mof.co.jp

2. 過去の自分がどのような選択をしてきたか

「自分が本当にやりたかったことは大抵既にやっている」これが一つの答えだと思う。過去の自分の行動選択から逆算することで、自分の生き方の嗜好性を認識することが出来る。

改めてDHHの言葉を引用したい。

心に満足を与えてくれるもの、それは Rubyのプログラミングであり、 Basecampを構築することであり、 Signal v Noiseに投稿したり、写真を撮ることだった。つまり、今まで何年にもわたって続けてきた自分の性に合ったライフスタイルそのものだった。

DHHと比べるとミトコンドリアレベルのぼくだけど、一寸の虫にも五分魂、ミクロのミトコンドリアにも1ビットくらいの魂があるので、この言葉には大変共感できる。

ぼくが20代半ばの頃、不労所得で生活することや、ハワイのビーチでのんびりしながらOSS開発したりする生き方に憧れていた時期もあった。だけど、会社を立ち上げて、分からないなりに試行錯誤繰り返して事業を立ち上げて行く最中でその楽しさと喜びを知り、かつての憧れはどうでも良くなってどこかへ消失していた。ていうかハワイそんなに行きたくないや。不労所得はともかく。

不労所得で生活することは今でもまあ出来る。ハワイでのんびりOSS開発もたぶん工夫すれば出来る。でも現にぼくはそれを実現するための行動は何もしてきていない。それが出来る状態になってさえそれをやらない。つまりそれは自分にとって本当にやりたいことではなかったと言える。

ぼくの好きなことはプログラミングだ。お金がもらえなくても、休日の自分の時間を使ってまでも、ぼくはプログラミングをやりたい。自分が作りたいと思ったものを自分の手で作り上げる喜びは他では得難い体験だ。

ここで少し翻って話をしてみる。

ぼくは2015年4月システム開発の会社としてmofmof inc.を立ち上げ、一プログラマから経営者という立場に変わった。自分の主な仕事がシステム開発ではなく経営になるということに少しだけ悩みもした。おそらく業務でプログラミング出来る時間は減っていくことが容易に想像出来ていたし、実際そうなった。

それでもなお、経営者という立場を選択した理由はなんだったのだろうかと考えてみたことがある。深堀りに深堀りをしていって、最終的にたどり着く答えは、「経営者」という未知の世界を知りたい、自分には今やれること以上の何が出来るのかを確かめたいということだった。そしてこの欲求を突き詰めていくと「知的好奇心」を満たしたいという原始的な欲求へ収束した。

このようにして自分の行動選択の原則を認識することが出来た。

まとめ

  1. 個人的なビジョン=自分が本当にやりたいことを見つけることは自身の人生をより豊かにする
  2. 「もし今1兆円の資産があって一生働く必要もないとしたら何をしているだろうか?」を問いかけてみよう
  3. 「過去の自分がどのような選択をしてきたか」から自分の行動選択の原則を見出してみよう
  4. ビジョンが見えたら、次に自分が何をすべきかの具体的な行動を決めよう

忙しいあなたでもすぐに自分のサービスが作れる!開発合宿のススメ

ごきげんよう。mofmof inc.エンジニア兼代表取締役のはらぱんこと原田です。

先日毎年楽しみにしている開発合宿に行ってきた。今回行ったところは土善旅館という開発合宿に最適化された最強の旅館。温泉は気持ちいいし、豚肉がうまい。そして猫が可愛い。圧倒的至高。

www.dozenryokan.com

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ちなみに弊社のサービスの一つ「社内問い合わせ専用AIチャットボット My-ope office」はまさにこの開発合宿で生まれて、ちゃんと今でも売上が立っているサービス。

www.my-ope.net

ぼくがよく参加している開発合宿は「開発合宿友の会」というFacebookグループで運用されていて、毎年、春・秋の2回開催されている。もし開発合宿自分も参加したーいって方いたらお気軽にぼくまで声かけていただければ招待します。

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開発合宿って何?

開発合宿、若い人は行ったことない人もいるみたいだから説明しておくと、土日とか連休とかを使ってみんなで熱海とかどこかの旅館に泊まってモクモクと開発する、知らない人からするとあまりにもストイック過ぎる夢のようなイベントですよな。大体1泊2日くらいが多い気がします。

一般的な感覚の人からすればこう思うかもしれない。

「なんで休みの日まで泊りがけで仕事してるの??バカなの??」

違うんですよ、開発合宿は仕事じゃない。娯楽なんですよ。この業界のエンジニア、特に腕の立つエンジニアは開発が大好きな人がとても多い。みんな通常業務で忙しいから趣味の平日の夜とか、土日の時間を使って趣味の開発をしてたりするんだけど、まとまった時間を確保することが難しい。

そこで、土日まるっと予定をおさえてしまえば、開発に集中する時間が確保出来るよねってことで開発合宿に行くわけです。

つくるものは、それぞれ思い思いのものを作ってる。会社員やってる傍ら個人サービスでチャリンチャリンしようとしたい人もいれば、新しい技術のキャッチアップのためになんか作ってみる人もいる。ぼくのように自社サービスをつくる時間に当てている人もいる。

開発したいなら家でやればよくない?

愚問だな。

まるっと時間を確保して、日頃のあらゆるしがらみから解放されて全力を注ぎ込めるから合宿なんですよ。家にいたらテレビみちゃったり、ゲームしちゃったり、寝ちゃったりするじゃないですか。ご飯用意したり、家事したり、日常は気づかないうちに時間を吸い取っていくわけですよ。

さらに付け加えるなら、開発合宿の魅力は他にもある。開発合宿とは旅行x開発のコラボレーション。温泉入れるし、食べ物美味しいし、気心知れた仲間とワイワイできるんですよ。はい優勝。もーワクワクウキウキ過ぎて、枕でも投げて羽毛散らしながら恋バナしたい。

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1泊2日で自分のサービスは作れるか?

「いや、1泊2日だけでサービスリリースとか無理っしょ」って思ったそこのあなた。先入観に囚われ過ぎですぞ。

大抵のサービスは、一般人の目に触れる時点ではかなり完成度が高い状態にある。でもね、実は一番最初は違うんですよ。

良くリーン・スタートアップの文脈で紹介される、ザッポスやグルーポンの例は聞いてことありますかね?

www.zappos.com

www.groupon.jp

これらのサービスはリリースされた時点では、システムなんてほとんどなかったんですよ。ザッポスは購入の申し込みが入ったら自分で靴を買いに行って発送してたり、グルーポンはただのwordpressでつくったブログでしかなかった。

サービスっていうのはエッセンスを絞りに絞ることでとても小さく作ることが可能で、そうして作られたプロダクトはMVPって呼ばれてたりする。

www.mof-mof.co.jp

ぼく自身もそうだけど、エンジニアってステキな完成品を作りたくなる衝動があるんですよね。でも一人で完成品なんてつくろうとしたら何ヶ月、あるいは何年あっても足りない。

だからユーザーにとってニーズがあることを確かめることだけが出来るとても小さいプロダクト開発を一番最初にやるんですよ。だから何ヶ月も何年も必要ないんですね。そして、1泊2日という制限されたタイムボックスがこの思想ととても相性が良くて、出来る時間が限られるからこそエッセンスを抽出した小さいプロダクトを設計することが出来たりします。

ちなみに短期間の開発手法については、大昔に登壇したときの資料があるのでリンク残しておくね。今でも使える知識のはず。

www.slideshare.net

開発合宿でつくった後はどうするのか?

MVPをリリース出来たら、まずは知り合いでも誰でも良いから、使ってくれそうな人に片っ端に使ってみてもらおう!そしてフィードバックをもらうのである。

やってみるときっとわかると思うけど、自分では気づかなかった予想外なポイントで離脱していたり、そもそもニーズがなかったりっていうことに気づくはず。改善すべきポイントが見つかったらちまちま改善していったりすれば良い。ニーズがないと思ったら、技術的オモチャにしてこねくり回して、飽きたら次のプロダクト開発すれば良い。

絶対に間違ってはいけないのは、完成度を高めるために誰にも公開せずに淡々と開発に時間を費やしてしまうこと。この一点に尽きる。価値のないものに時間を費やしていられるほど人生は長くないし、誰も喜んでくれないものを開発し続けるのはモチベーションを維持できない。だからダメぜったい。

開発合宿駆動事業立ち上げ

ニーズのあるサービスを実現するには?エンジニアならまずは数を打つこと。これに尽きる。

渾身の力作をドッカーンとぶつけるんじゃなくて、あれかなこれかなって感じで小さいプロダクトをたくさんぶつけること。ほとんどが失敗に終わるだろうけど、何度か繰り返していると、うまくいくコツとかが少しだけ見えてくる。

ぼくは年2回程度開発合宿に参加していて、そのたびに新しい事業のプロダクト開発をする開発合宿駆動事業立ち上げスタイルです。何度も何度もつくっては捨てて、つくっては捨ててを繰り返し、ようやく冒頭で紹介した「My-ope office」という売上が立つプロダクトを実現することが出来た。ここまでたどり着くために少なくとも10本くらいは価値のないプロダクトを世に送り出してきた。

このサービスの生み出し方はエンジニアじゃなきゃ出来ない強みだと思っている。自分のサービスで収益を得たいと思うなら、まずは数を打とう。そしてその数を生み出す場こそが開発合宿ということです。

さあ分かったら開発合宿へ行ってみるのです!

それ、ワシが作ったんすよぉぉぉ!!って言いたいから会社経営している

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mofmof inc.エンジニア兼代表のはらぱんこと原田です。

スタートアップ界隈の人と話していると

「そのビジネスモデルだとスケールしなくないですか?」

「ちっちゃいビジネスですねー」

なんて話題になることがあるんだけど、そう言われるたび、

「なんでスケールしなくちゃいけないんだろう?別にスモールビジネスでも良くね?」と思ったりする。

渋谷にいるといわゆるスタートアップ企業と呼ばれる、エンジェルやVCなどの外部から出資を受けて、IPO(新規事業)を達成すべく全力疾走するという企業が比較的多く存在する。mofmof inc.もその周辺に存在している企業なので、必然的に「スケールしなくないですか?」みたいな話題になりがちなわけです。

mofmof inc.はIPOを目指している企業ではない。M&Aによる多額の売却益を狙って会社経営しているわけでもない。

「じゃあ自分は一体何をしたくて会社経営してるんだろうなあ」

と考えるきっかけになったので、頭に中にある気持ちを整理して言語化してみます。

会社のゴールはなんだろう?

IPOやM&Aは明確に終わりがあるので、ゴールとして定義しやすい。しかし、それがない場合、何をゴールとすれば良いのだろうか。

自問して見えてくるのは「ゴールなんて必要なくない?」という結論。

ぼくが会社経営している動機は、お金が欲しいわけでもなく、名声が欲しいわけでもなく(いや、やっぱりちょっとほしい)、早期リタイヤしたいわけでもない。

ぼくは、

楽しいと感じられることをしたい。

テンションが上がることをしたい。

まだ知らないことを知りたい。

そういう自己の内面の喜びのために働いている。だからそれが得られ続ける限り会社経営をする動機になり続ける。つまり「ゴールは必要ない」と言う結論に至った。

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何にテンションがあがるの?

人によってテンションが上がる瞬間って違うと思う。じゃあどんなときにテンションが上がるのか?

「御社のサービスを導入してこんな風に改善したんです!」ってクライアントの声を聞いた時。

「そのサービス、ワシがつくったんすよぉぉぉ!!」と言えるとき。

「いいものつくってくれてありがとう!確実に価値を提供できているよ!」って言ってもらえたとき。

自分たちが生み出したもので、誰かをハッピーにしているという実感にとってもテンションがあがるのですよ。もはやそのために生きていると言っても過言ではない気がする。

以前の誰かとの雑談でこんな話をしたことがあった。

「経営者って○○のためにやっているっていうけど、実際は建前なんでしょ?本当はお金欲しいんでしょ?」

いや、まあお金は欲しい。無限にお金があるならそれがいい。だがしかし、そんな動機のために何年も何年も努力など出来るかよ!とも思う。

そもそもお金がたくさんあったって欲しいものなんて大してない。せいぜい最新のMac Bookくらいのもんだ。物理ESCキーが復活するらしいぞ。欲しい!!

本当にものづくりの喜びのために働いているのか、何度か自問してみたこともあるけれど、自分の心に矛盾がないように感じる。

ぼくは本音と建前が乖離してしまうと、自分やっていることと言っていることの矛盾に苦しくなる。楽しくなくなる。だから企業として掲げている言葉は、出来るだけ自分の内面と一致させるように努めている。

そんなことを考えながら、そういえば弊社のHPでも掲げている「つくって人をしあわせにする」という言葉を思い出した。

この言葉は確か会社を立ち上げて2期目とかに定義した言葉で、「つくる人」「使う人」「欲しい人」の三者をしあわせにしましょう、という意味で書いた。しっかり今の気持ちとリンクしているので、あの頃と一貫した気持ちで経営をしているんじゃないかなと言える。

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なぜ会社を成長させたいのか?

一般的には企業の経営には売上目標というものがあると思う。mofmof inc.でも資金計画のために売上目標が存在する。しかし、その売上目標ありきの経営はしていない。売上目標を達成することに一点集中してがむしゃらになったりしない。

例えばスタートアップの世界では、イケると思ったビジネスにはすぐに後発の競合が現れる。そして競合同士でせめぎ合い、追い越せ追い抜けと熾烈な争いを繰り広げてたりする。ときにはつぶしあいの様相を呈したりもする。

mofmof inc.のサービス、例えば「開発チームレンタル」にも「社内問い合わせチャットボットMy-ope office」にも競合はいる。だが競合よりも売上が多くなければならないとか、競合を潰さなければ!なんて考えたことはない。我々は我々が考えるベストなプロダクト(サービス)を市場に届けるだけだ。売上よりも、我々自身が価値あるプロダクト(サービス)を提供していると信じられることの方がずっと重要だ。売上が上がるのはとっても嬉しいことだけど、それ以上に大切にしていることがあるわけだ。

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その一方で、ぼくは会社を成長させたいと感じている。それはなぜだろうか?人をハッピーにさせているのなら、その規模は問わないはずではないか?

例えば、今のように小規模の組織で、拡大も縮小もせず単純に仕事を回し続ければ、安定的に生き残ることは出来る。しかし、それは楽しいか?

食っていくためだけならそれでいいけど、人生の目的は飯を食って生きていくことではない。この会社でやりたいことは、よりハッピーでエキサイティングなものづくりの体験を極めること・追究することにほかならない。

ビジネス的な成功、つまり売上や収益は、我々が社会に届けた価値を測る尺度だ。それが大きくなるということは、我々の活動に価値があることを証明し、我々が価値をより多くの提供できたという喜びを実感出来る。そのために会社を成長させ続けたいの願うのである。

そんなことを考えてると、仕事が楽しいってとても幸せなことだなと思った。

こんな会社に興味あるなーと思った方はぜひお話しましょう。

www.mof-mof.co.jp

www.wantedly.com

mofmofのエンジニア向け研修内容スライドを公開します!

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こんにちは、mofmof inc.エンジニア兼代表取締役のはらぱんこと原田です。

mofmof inc.では「開発チームレンタル」という月額制の開発サービスを運営しております。

開発チームレンタルとは | 月額制受託開発の株式会社mofmof

それ以外にも自社サービスを6個ほど運営しているのですが、組織としては8割エンジニアで構成されている組織です。

会社を表す言葉として「技術が目的、ビジネスは手段」という言葉を掲げていて、いかに価値あるものづくりをするか、まだ世にない面白いもの生み出すことが出来るか、という点にフォーカスして経営しています。

「技術が目的」と言っても、ただ技術があるだけでは価値は生み出せません。どのように価値を実現するのかその方法を知らなければならないのです。そして、正しく価値を実現するための方法論として「アジャイル」や「リーンスタートアップ」という考え方が存在します。

mofmof inc.では中途で入社するエンジニアが多いことと、技術に関しては自分でプロダクトを開発する研修が存在するため、講義形式のものは「アジャイル」や「リーンスタートアップ」に関連したものに比重が置かれています。

研修の目的

エンジニアという職業は基本的にものをつくるものです。ゆえに、いかに効率的・保守性高く・完成度高く作るか、というような視点にフォーカスされがちです。

その一方で、当然ながら、プロダクトを作る目的は、プロダクトを完成させることはではありません。効率的に作る・保守性高く作る・完成度高く作る、これらは全て価値のあることですが、それだけが素晴らしくてもビジネスが上手くいくわけではないのです。

ビジネスのフェーズに合わせて、どのように作るべきかは変わってくるのが正しい姿です。完璧に作るよりも優先されるのはビジネスを実現することです。

アジャイルな作り方は、トライアンドエラーを繰り返しながらビジネスの方向性を随時変えていくことに追従していくことが出来ます。

リーン・スタートアップの考え方は、小さく早く検証して仮説の誤りを見つけることの重要性を示してくれます。

mofmof inc.では新しく事業を立ち上げるためのサービス開発を請け負うことが多いです。ムダを少なく、出来るだけ早くリリースする、そのために必要な知識として、これら研修を実施しています。

研修のやりかた

ただ作るだけではmofmofエンジニアとしての振る舞い体得することが出来ないので、リーンスタートアップ的な考え方を理解するために、自分で作るものを決めて、小さいスコープのMVPを定義・設計します。

開発が始まったら、アジャイルな考え方・プラクティスを使って、実案件に近いようなやり方でエンジニア自身が主体的に行動して作り上げていく、というような研修内容になっています。

1ヶ月目

  1. 必須図書を渡す。全て読むべし(1ヶ月以内)
    • スクラムブートキャンプ
    • ユーザーストーリーマッピング
    • アジャイルサムライ
  2. 講義
    1. もふもふなエンジニアの心得
    2. リーンスタートアップとMVP
    3. リーンキャンバスの作り方
  3. 各自作るプロダクトの案を一つ決める
  4. ユーザーストーリー(機能)出し
  5. 講義
    1. インセプションデッキの作り方
    2. スクラムとモジャイル
    3. 見積もりの仕方
    4. 振り返りの仕方

※講義実施前など隙間時間が発生した際には、株式会社万葉さんの課題の実装をやります。

github.com

2ヶ月目

  1. プロダクト案を実装する
    1. メンターと週次ミーティング・デモ
    2. 随時メンターによるコードレビュー

mofmofの研修を公開講座にしています

mofmof inc.のエンジニア向け研修は、実は公開講座になっておりまして、外部の人でも受講することが出来ます。

企業からご依頼いただいて外部で研修を実施するときは、10〜20万円/1回くらいで見積もらせていただいているのですが、社内の研修ついでに外部公開する場合は2,000円/1回で受けられるお買い得設定になっているので、興味ある方は参加ください。

www.street-academy.com

www.street-academy.com

www.street-academy.com

www.street-academy.com

スライド一覧

もふもふなエンジニアの心得

スクラムとモジャイル

リーン・スタートアップとMVP

リーンキャンバスの作り方

インセプションデッキの作り方

見積もり

振り返り

イケイケな4社の採用戦略をまとめてみた結果、たった一つの重大な真実にたどり着いてしまった

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エンジニア採用戦略どうしたらいいか分からない…。

いや、全く分からないわけではないし、全然うまく行っていないってほどでもない。別にIPO目指しているスタートアップ企業じゃないので、指数関数的右肩上がりを狙っているわけでもない。

だがしかし、もう少し結果を出したい!一体どうしたらいいのだろうか…?

自社サービスももっと進めたいし、せっかく開発をお願いしたいってありがたいお声をたくさんいただいているのに、「すみません、今対応出来る人空いていなくて。。。」って言わざるを得ないのが悲しい。

というわけで、エンジニア採用イケイケに見えるWEB系企業がどんな採用戦略で、どんなアクションをしているか研究した結果と、小規模のスタートアップ・ベンチャー企業でも真似できそうなポイントをまとめてレポートします。

研究対象企業

  1. SmartHR
  2. ソニックガーデン
  3. ENECHANGE
  4. 株式会社あつまる

SmartHR

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SmartHR

smarthr.jp

凄まじい勢いで成長を続ける、HR系スタートアップのSmartHR。直接知り合いがいるわけでもないのに、毎日のようにSmartHRに関わる情報を見聞きしている気がする。

その勢いも凄まじいものがあり、ちょっと前までは登場したばっかりのスタートアップだったのに、今では「全てのエンジニアはSmartHRかメルカリというブラックホールに吸い込まれる」と言われているくらいの勢い。飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことか。

ちなみに弊社mofmofもSmartHRユーザーです。社保の手続きとかがSmartHRを介して電子申請出来るようになったので非常に便利。専門的な知識なしで手続き出来るので大変良い。

採用戦略としては、採用ピッチ資料を公開して大きな反響があったことが有名ですね。それをみたベンチャー各社が採用ピッチ資料を作るというブームまで巻き起こしました。ほんとすげえな。

blog.shojimiyata.com

ちなみに弊社もブームにのっかってみた1社です。ぜひ読んでみてね!

speakerdeck.com

観点 実施内容
コーポレートサイト https://smarthr.co.jp/recruit
Wantedly https://www.wantedly.com/companies/smarthr/projects
Green https://www.green-japan.com/company/6741
ミートアップイベント エンジニア歓迎会の練習会 in サイゼリヤをやりました
コンテンツ配信 Wantedly
代表の宮田氏のブログ
採用企画 体験入社制度

コーポレートサイト

応募ページを見るとどうやらtalentioというサービスを使っている模様。非常にたくさんの応募が来るためツールを導入しているのか、あるいは複数のエージェントを同時併用しているのかも知れない。

ミートアップイベント

まだ今のように採用がうまくいっていなかった時期に開催していた、エンジニアの入社歓迎会の練習をする会がユニーク。

エンジニア歓迎会の練習会 in サイゼリヤをやりました

Wantedlyのミートアップ、やconnpassのイベント履歴を見る限り、2018年9月頃からはそれほどミートアップには力を入れていない模様。歓迎会の練習会や、採用ピッチ資料で波に乗って母集団形成が満たされるようになったため、ミートアップ以外の施策に注力しているのではないかと推測。

コンテンツ配信

Wantedlyのフィードは数ヶ月〜1年に1回くらいと、それほど頻繁には更新されていない。
採用ピッチ資料もそうだけど、代表の宮田氏のブログは1〜3日に1記事投稿されていて、こちらが主力なのでは。

採用企画

体験入社制度が有名。2019/10/11現在では申し込み出来なくなっている。体験入社はミスマッチが減らせて非常に良い制度だけど、そこそこオペレーション負担が大きいのがネック。別の手法でミスマッチをへらす工夫をしているのではと推測。

真似できそうなポイント

上記に載っていないが、RubyKaigiのシャトルバスを出したりと、けっこう大胆な投資の仕方もしている。先日61.5億円の資金調達を実施している。しかし小規模の企業では札束で殴るような施策は真似できない。

エンジニア歓迎会の練習会 in サイゼリヤをやりました」のようなアイディア・企画勝負のイベントを立てて目立つ作戦は、企画力と発信力に自信があれば真似できるかも。

あと、代表の宮田氏のブログは採用に関連した話題が多めだけど、SmartHRのビジョンを語るコンテンツなどもあって、比較的自由度が高く運用されているみたい。各コンテンツの末尾に大体採用ピッチ資料が貼ってあるので、多くの人に認知してもらうためにコンテンツを配信して、採用ピッチ資料までたどり着いてもらおうという形で、泥臭く努力している様子がうかがえる。

企業の色は代表のメッセージが大きく左右する。難しい採用戦略・設計を抜きにしても、代表自身がコンスタントに情報発信するというのは資金力に頼れない企業こそ真似すべきだと思う。

ソニックガーデン

ソニックガーデン
ソニックガーデン

www.sonicgarden.jp

めちゃくちゃ強いエンジニアがそろっているんだろうなあ。

技術に関して非常にストイックな企業というイメージが強い(技術だけじゃないと思うけど)。

月額制受託開発の先駆者。「納品のない受託開発」という開発サービスが有名だが、実は自社サービスの方でもちゃんと収益を上げているって聞いたことある。

納品のない受託開発は、従来型の「いつまでにどれくらい作るからいくらで」というスタイルを覆して、月額フィーをいただく代わりに顧問プログラマとして開発をまるっと担当するよ、というものです。

多くの失敗事例を積み重ねてきた歴史のあるシステム開発の世界にとって、これからの開発プロジェクトの未来の形を示唆するものでした。コンセプトを紹介した社長ブログやコーポレートサイトが共感を呼び、非常に話題になっていたことが思い出されます。

観点 実施内容
コーポレートサイト https://www.sonicgarden.jp/join_us
Wantedly https://www.wantedly.com/companies/sonicgarden
Green なし
ミートアップイベント ほとんどなし
コンテンツ配信 コーポレートサイトのブログ
代表・倉貫氏のブログ
採用企画 トライアウト

コンテンツ配信

コーポレートサイトのブログの方を見ると、「お客様事例」や「社長が話す」などのコンテンツが充実している。記事一つ一つが丁寧に作られており、写真も多く、社内の様子や文化、価値観が伝わりやすくなっている。

また外部のメディアに掲載されている代表の倉貫氏へのインタビューコンテンツも数多くあり、倉貫氏の著名ぶりがヒシヒシと感じられる。その著名さに甘んじることなく、丁寧にコンテンツを作り込んでいる姿勢を見ると、「ああ、発信って小手先のものじゃいけないんだなあ、ちゃんと伝わるように発信しなきゃ」という気持ちにさせてくれる。

真似できそうなポイント

connpassの方で、過去ミートアップイベントをやっていた形跡はあるものの、採用目的では特にやっていないように見える。Wantedlyもページはあるものの、募集やフィードはゼロ。

自社メディアや倉貫氏の圧倒的な発信力が特徴的で、小手先の情報発信やイベントに頼らないスタイル。非常にカッコいい。

これを真似してすぐ結果を出すことは不可能だけれど、情報発信の頻度や作り込みの丁寧さは真似すべきだと言える。こなれた情報発信が出来なくてもまずはコンスタントに情報発信を続けること。

「そんなことに時間かけていられないよー」と思うかも知れないけど、色々調べてみて分かったのは結果を出している企業ほど丁寧に情報発信していること。おそらく小手先の施策での結果は天井が低くて、会社を広く知ってもらうこと・よく知ってもらうことを粛々とやっていかないとすぐ頭打ちになりそう。

ENECHANGE

ENECHANGE
ENECHANGE

enechange.co.jp

電力自由化のタイミングからよく見聞きするようになった会社。Otemachi.rbというコミュニティを主催しているようで、この活動をきっかけに企業を知った人も多そう。エンジニアいわく「カッコいいエンジニアがいる企業」というイメージらしい。

ぼく自身、接点はほとんどない企業だけど、Wantedlyか何かの募集をよく目にしたのか企業自体はもともと知っていた。

観点 実施内容
コーポレートサイト https://enechange.co.jp/recruit/
Wantedly https://www.wantedly.com/companies/enechange
Green https://www.green-japan.com/company/3781
ミートアップイベント connpass
コンテンツ配信 Wantedlyのフィード
採用企画 特になさそう

コンテンツ配信

Wantedlyのフィードが1本/1ヶ月くらいのペースで投稿されている。そこまでバリバリ力をいれてやっている感じではなさそう。

ミートアップイベント

connpassでOtemachi.rbというRubyコミュニティを主催している。イベントは平均13,14名くらいで2週〜1ヶ月に1回くらいのペースでコンスタントに開催されている。ここ経由で知った人もそこそこいそう。Rubyコミュニティは有志のエンジニアが企業とは独立して運営していることが多く、企業が主催している形は珍しいなあと思った。

技術コミュニティにいる人=技術出来る人っていう印象が成り立ちやすいので、「カッコいいエンジニアがいる」というイメージはこの辺の活動から形成されてるのかも。

真似できそうなポイント

何かしらの技術コミュニティを主催するのは真似出来るポイントかなと思った。一方で採用目的でのコミュニティづくりはあんまり受け入れられないので、コミュティを立ち上げるのは良いが、あくまでも目的は技術の発展やノウハウの展開におき、業界へ還元する姿勢でやることが大前提。

決してコミュニティ参加者に対して「弊社へ転職どう?ねえどう?どう?転職いつ?ねえ?ねえ?」みたいな野暮なことをしてはいけない。

また、コミュニティで名刺交換しただけ人に転職を打診するような迷惑な行為をしてはいけない。これは確実に逆効果。エンジニアからするとこういうデリカシーのない企業は御免被りたい対象になる。従ってコミュニティ経由での応募数をKPIにするような愚策は絶対にダメだ。ダメゼッタイ。

株式会社あつまる

株式会社あつまる
株式会社あつまる

atsu-maru.co.jp

ぼくは初見の企業ですが、メンバーが知っていたので調べてみる。従業員数85名なので、大きめのベンチャー企業といった感じ。設立は2013年と、弊社より2年先輩。

集客プラットフォームという物を持っていて、WEB上のデータや各種SNSのデータなどのビッグデータと、アンケート結果や決算・経営計画書などのデータを持っていて、社内のエンジニアはなんらかのデータ分析をして、現状の課題・問題点を抽出し、集客戦略を教えてくれるっていうサービスをやっているみたい。

一言で言うならビッグデータを使って、マーケティング支援コンサルティング、みたいな理解をした。

観点 実施内容
コーポレートサイト https://atsu-maru.co.jp/recruit/
Wantedly https://www.wantedly.com/companies/atsu-maru
Green https://www.green-japan.com/company/4190
ミートアップイベント Wantedly
TECH PLAY
コンテンツ配信 note
採用サイトのブログ
採用企画 特になさそう

コーポレートサイト

圧倒的にサイトが美しい。写真をどどーんと使っているTOPビジュアルや、統一感の取れた写真、編集もキレイだし「ああ、ここはクリエイターの会社なんだなあ」とズバッと伝わってくる。

Instagramで社内の様子を発信してサイトでもそれらを並べている。写真の使い方を熟知している気がする。応募はサイトのフォームも設置しているが、ナビ系の媒体からも応募出来るようになっている。

とにかく隅から隅まで美しくて、マブしくて、キレイで、うらやましい。こっちまでキラキラしたくなってくる。

Wantedly

フィードは1〜2本/月くらいのペースで更新されている。一通りの募集情報も掲載されている模様。他にもリクナビなどの媒体やGreenも使っている。

ミートアップイベント

ミートアップイベントはWantedlyTECH PLAYで募集されているが、見える範囲では2019年9月が最初のイベントなので最近始めたのかも知れない。2019年10月までに3本のイベントが実施されているので、月1ペースくらいではやっていくのかな。

また中の人がクリエイター卓球部というコミュニティもやっているようだけど、connpassの情報を見る限り採用目的ではなく、純粋に卓球がやりたくてやっているように見える。ついでに外部のクリエイターとの接点を作ってる感じっぽい。

コンテンツ配信

noteの方は、デザインやスクリプトについてもあるけど、自己紹介だったり、腕時計を紹介する記事だったり、割とテーマを絞らずゆるっとやっているみたい。

採用サイトのブログの方は、社内の雰囲気を伝えることを主軸においたコンテンツが多い印象。どのような想いでどんな事業をやっているのか?みたいなエモい話もあったら嬉しいなと感じた。更新頻度は高く、3日〜1週間に1本くらいでアップされているみたい。

真似できそうなポイント

直接採用目的ではなさそうだけど、クリエイター卓球部はステキだなと思った。採用活動って、応募が来て、面談して、合否出して、ってだけじゃないと思うんですよね。

応募するよりも前に自社のこと知ってもらえているのって非常に良いことだと思っていて、まずmofmofって会社の存在や、どんな風なことをやっているかを知ってもらっていなければ何も始まらない。

短絡的に採用に結びつけようとしてはいけないと思うけど、外部の人との継続的な接点を持つという意味では、遊びに振り切ったコミュニティを運営してみるのもよし、そういうコミュニティで純粋に楽しむのもよし、だと思った。

まとめ

まとめると、

1. スタートアップベンチャー企業は代表自身が熱心に情報発信しましょう

2. コミュニティを持ちましょう。ただし採用目的ではなく参加者にとって価値のあるイベントを企画しましょう

3. コーポレートサイトはめんどくさがらずに更新しましょう。直接採用に関係がないコンテンツも会社の文化が表現されるものです。丁寧に発信しましょう

ちょうどTwitterでこんなツイートを見つけて、結論まさにこれ。

たどり着いたたった一つの重大な真実「採用に時間をかけて、発信し続けて、積み重ねる