エンジニア採用戦略どうしたらいいか分からない…。
いや、全く分からないわけではないし、全然うまく行っていないってほどでもない。別にIPO目指しているスタートアップ企業じゃないので、指数関数的右肩上がりを狙っているわけでもない。
だがしかし、もう少し結果を出したい!一体どうしたらいいのだろうか…?
自社サービスももっと進めたいし、せっかく開発をお願いしたいってありがたいお声をたくさんいただいているのに、「すみません、今対応出来る人空いていなくて。。。」って言わざるを得ないのが悲しい。
というわけで、エンジニア採用イケイケに見えるWEB系企業がどんな採用戦略で、どんなアクションをしているか研究した結果と、小規模のスタートアップ・ベンチャー企業でも真似できそうなポイントをまとめてレポートします。
研究対象企業
- SmartHR
- ソニックガーデン
- ENECHANGE
- 株式会社あつまる
SmartHR
凄まじい勢いで成長を続ける、HR系スタートアップのSmartHR。直接知り合いがいるわけでもないのに、毎日のようにSmartHRに関わる情報を見聞きしている気がする。
その勢いも凄まじいものがあり、ちょっと前までは登場したばっかりのスタートアップだったのに、今では「全てのエンジニアはSmartHRかメルカリというブラックホールに吸い込まれる」と言われているくらいの勢い。飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことか。
ちなみに弊社mofmofもSmartHRユーザーです。社保の手続きとかがSmartHRを介して電子申請出来るようになったので非常に便利。専門的な知識なしで手続き出来るので大変良い。
採用戦略としては、採用ピッチ資料を公開して大きな反響があったことが有名ですね。それをみたベンチャー各社が採用ピッチ資料を作るというブームまで巻き起こしました。ほんとすげえな。
ちなみに弊社もブームにのっかってみた1社です。ぜひ読んでみてね!
観点 | 実施内容 |
---|---|
コーポレートサイト | https://smarthr.co.jp/recruit |
Wantedly | https://www.wantedly.com/companies/smarthr/projects |
Green | https://www.green-japan.com/company/6741 |
ミートアップイベント | エンジニア歓迎会の練習会 in サイゼリヤをやりました |
コンテンツ配信 | Wantedly 代表の宮田氏のブログ |
採用企画 | 体験入社制度 |
コーポレートサイト
応募ページを見るとどうやらtalentioというサービスを使っている模様。非常にたくさんの応募が来るためツールを導入しているのか、あるいは複数のエージェントを同時併用しているのかも知れない。
ミートアップイベント
まだ今のように採用がうまくいっていなかった時期に開催していた、エンジニアの入社歓迎会の練習をする会がユニーク。
Wantedlyのミートアップ、やconnpassのイベント履歴を見る限り、2018年9月頃からはそれほどミートアップには力を入れていない模様。歓迎会の練習会や、採用ピッチ資料で波に乗って母集団形成が満たされるようになったため、ミートアップ以外の施策に注力しているのではないかと推測。
コンテンツ配信
Wantedlyのフィードは数ヶ月〜1年に1回くらいと、それほど頻繁には更新されていない。
採用ピッチ資料もそうだけど、代表の宮田氏のブログは1〜3日に1記事投稿されていて、こちらが主力なのでは。
採用企画
体験入社制度が有名。2019/10/11現在では申し込み出来なくなっている。体験入社はミスマッチが減らせて非常に良い制度だけど、そこそこオペレーション負担が大きいのがネック。別の手法でミスマッチをへらす工夫をしているのではと推測。
真似できそうなポイント
上記に載っていないが、RubyKaigiのシャトルバスを出したりと、けっこう大胆な投資の仕方もしている。先日61.5億円の資金調達を実施している。しかし小規模の企業では札束で殴るような施策は真似できない。
「エンジニア歓迎会の練習会 in サイゼリヤをやりました」のようなアイディア・企画勝負のイベントを立てて目立つ作戦は、企画力と発信力に自信があれば真似できるかも。
あと、代表の宮田氏のブログは採用に関連した話題が多めだけど、SmartHRのビジョンを語るコンテンツなどもあって、比較的自由度が高く運用されているみたい。各コンテンツの末尾に大体採用ピッチ資料が貼ってあるので、多くの人に認知してもらうためにコンテンツを配信して、採用ピッチ資料までたどり着いてもらおうという形で、泥臭く努力している様子がうかがえる。
企業の色は代表のメッセージが大きく左右する。難しい採用戦略・設計を抜きにしても、代表自身がコンスタントに情報発信するというのは資金力に頼れない企業こそ真似すべきだと思う。
ソニックガーデン
めちゃくちゃ強いエンジニアがそろっているんだろうなあ。
技術に関して非常にストイックな企業というイメージが強い(技術だけじゃないと思うけど)。
月額制受託開発の先駆者。「納品のない受託開発」という開発サービスが有名だが、実は自社サービスの方でもちゃんと収益を上げているって聞いたことある。
納品のない受託開発は、従来型の「いつまでにどれくらい作るからいくらで」というスタイルを覆して、月額フィーをいただく代わりに顧問プログラマとして開発をまるっと担当するよ、というものです。
多くの失敗事例を積み重ねてきた歴史のあるシステム開発の世界にとって、これからの開発プロジェクトの未来の形を示唆するものでした。コンセプトを紹介した社長ブログやコーポレートサイトが共感を呼び、非常に話題になっていたことが思い出されます。
観点 | 実施内容 |
---|---|
コーポレートサイト | https://www.sonicgarden.jp/join_us |
Wantedly | https://www.wantedly.com/companies/sonicgarden |
Green | なし |
ミートアップイベント | ほとんどなし |
コンテンツ配信 | コーポレートサイトのブログ 代表・倉貫氏のブログ |
採用企画 | トライアウト |
コンテンツ配信
コーポレートサイトのブログの方を見ると、「お客様事例」や「社長が話す」などのコンテンツが充実している。記事一つ一つが丁寧に作られており、写真も多く、社内の様子や文化、価値観が伝わりやすくなっている。
また外部のメディアに掲載されている代表の倉貫氏へのインタビューコンテンツも数多くあり、倉貫氏の著名ぶりがヒシヒシと感じられる。その著名さに甘んじることなく、丁寧にコンテンツを作り込んでいる姿勢を見ると、「ああ、発信って小手先のものじゃいけないんだなあ、ちゃんと伝わるように発信しなきゃ」という気持ちにさせてくれる。
真似できそうなポイント
connpassの方で、過去ミートアップイベントをやっていた形跡はあるものの、採用目的では特にやっていないように見える。Wantedlyもページはあるものの、募集やフィードはゼロ。
自社メディアや倉貫氏の圧倒的な発信力が特徴的で、小手先の情報発信やイベントに頼らないスタイル。非常にカッコいい。
これを真似してすぐ結果を出すことは不可能だけれど、情報発信の頻度や作り込みの丁寧さは真似すべきだと言える。こなれた情報発信が出来なくてもまずはコンスタントに情報発信を続けること。
「そんなことに時間かけていられないよー」と思うかも知れないけど、色々調べてみて分かったのは結果を出している企業ほど丁寧に情報発信していること。おそらく小手先の施策での結果は天井が低くて、会社を広く知ってもらうこと・よく知ってもらうことを粛々とやっていかないとすぐ頭打ちになりそう。
ENECHANGE
電力自由化のタイミングからよく見聞きするようになった会社。Otemachi.rbというコミュニティを主催しているようで、この活動をきっかけに企業を知った人も多そう。エンジニアいわく「カッコいいエンジニアがいる企業」というイメージらしい。
ぼく自身、接点はほとんどない企業だけど、Wantedlyか何かの募集をよく目にしたのか企業自体はもともと知っていた。
観点 | 実施内容 |
---|---|
コーポレートサイト | https://enechange.co.jp/recruit/ |
Wantedly | https://www.wantedly.com/companies/enechange |
Green | https://www.green-japan.com/company/3781 |
ミートアップイベント | connpass |
コンテンツ配信 | Wantedlyのフィード |
採用企画 | 特になさそう |
コンテンツ配信
Wantedlyのフィードが1本/1ヶ月くらいのペースで投稿されている。そこまでバリバリ力をいれてやっている感じではなさそう。
ミートアップイベント
connpassでOtemachi.rbというRubyコミュニティを主催している。イベントは平均13,14名くらいで2週〜1ヶ月に1回くらいのペースでコンスタントに開催されている。ここ経由で知った人もそこそこいそう。Rubyコミュニティは有志のエンジニアが企業とは独立して運営していることが多く、企業が主催している形は珍しいなあと思った。
技術コミュニティにいる人=技術出来る人っていう印象が成り立ちやすいので、「カッコいいエンジニアがいる」というイメージはこの辺の活動から形成されてるのかも。
真似できそうなポイント
何かしらの技術コミュニティを主催するのは真似出来るポイントかなと思った。一方で採用目的でのコミュニティづくりはあんまり受け入れられないので、コミュティを立ち上げるのは良いが、あくまでも目的は技術の発展やノウハウの展開におき、業界へ還元する姿勢でやることが大前提。
決してコミュニティ参加者に対して「弊社へ転職どう?ねえどう?どう?転職いつ?ねえ?ねえ?」みたいな野暮なことをしてはいけない。
また、コミュニティで名刺交換しただけ人に転職を打診するような迷惑な行為をしてはいけない。これは確実に逆効果。エンジニアからするとこういうデリカシーのない企業は御免被りたい対象になる。従ってコミュニティ経由での応募数をKPIにするような愚策は絶対にダメだ。ダメゼッタイ。
株式会社あつまる
ぼくは初見の企業ですが、メンバーが知っていたので調べてみる。従業員数85名なので、大きめのベンチャー企業といった感じ。設立は2013年と、弊社より2年先輩。
集客プラットフォームという物を持っていて、WEB上のデータや各種SNSのデータなどのビッグデータと、アンケート結果や決算・経営計画書などのデータを持っていて、社内のエンジニアはなんらかのデータ分析をして、現状の課題・問題点を抽出し、集客戦略を教えてくれるっていうサービスをやっているみたい。
一言で言うならビッグデータを使って、マーケティング支援コンサルティング、みたいな理解をした。
観点 | 実施内容 |
---|---|
コーポレートサイト | https://atsu-maru.co.jp/recruit/ |
Wantedly | https://www.wantedly.com/companies/atsu-maru |
Green | https://www.green-japan.com/company/4190 |
ミートアップイベント | Wantedly TECH PLAY |
コンテンツ配信 | note 採用サイトのブログ |
採用企画 | 特になさそう |
コーポレートサイト
圧倒的にサイトが美しい。写真をどどーんと使っているTOPビジュアルや、統一感の取れた写真、編集もキレイだし「ああ、ここはクリエイターの会社なんだなあ」とズバッと伝わってくる。
Instagramで社内の様子を発信してサイトでもそれらを並べている。写真の使い方を熟知している気がする。応募はサイトのフォームも設置しているが、ナビ系の媒体からも応募出来るようになっている。
とにかく隅から隅まで美しくて、マブしくて、キレイで、うらやましい。こっちまでキラキラしたくなってくる。
Wantedly
フィードは1〜2本/月くらいのペースで更新されている。一通りの募集情報も掲載されている模様。他にもリクナビなどの媒体やGreenも使っている。
ミートアップイベント
ミートアップイベントはWantedlyとTECH PLAYで募集されているが、見える範囲では2019年9月が最初のイベントなので最近始めたのかも知れない。2019年10月までに3本のイベントが実施されているので、月1ペースくらいではやっていくのかな。
また中の人がクリエイター卓球部というコミュニティもやっているようだけど、connpassの情報を見る限り採用目的ではなく、純粋に卓球がやりたくてやっているように見える。ついでに外部のクリエイターとの接点を作ってる感じっぽい。
コンテンツ配信
noteの方は、デザインやスクリプトについてもあるけど、自己紹介だったり、腕時計を紹介する記事だったり、割とテーマを絞らずゆるっとやっているみたい。
採用サイトのブログの方は、社内の雰囲気を伝えることを主軸においたコンテンツが多い印象。どのような想いでどんな事業をやっているのか?みたいなエモい話もあったら嬉しいなと感じた。更新頻度は高く、3日〜1週間に1本くらいでアップされているみたい。
真似できそうなポイント
直接採用目的ではなさそうだけど、クリエイター卓球部はステキだなと思った。採用活動って、応募が来て、面談して、合否出して、ってだけじゃないと思うんですよね。
応募するよりも前に自社のこと知ってもらえているのって非常に良いことだと思っていて、まずmofmofって会社の存在や、どんな風なことをやっているかを知ってもらっていなければ何も始まらない。
短絡的に採用に結びつけようとしてはいけないと思うけど、外部の人との継続的な接点を持つという意味では、遊びに振り切ったコミュニティを運営してみるのもよし、そういうコミュニティで純粋に楽しむのもよし、だと思った。
まとめ
まとめると、
1. スタートアップベンチャー企業は代表自身が熱心に情報発信しましょう
2. コミュニティを持ちましょう。ただし採用目的ではなく参加者にとって価値のあるイベントを企画しましょう
3. コーポレートサイトはめんどくさがらずに更新しましょう。直接採用に関係がないコンテンツも会社の文化が表現されるものです。丁寧に発信しましょう
ちょうどTwitterでこんなツイートを見つけて、結論まさにこれ。
たどり着いたたった一つの重大な真実「採用に時間をかけて、発信し続けて、積み重ねる」
採用うまくいってない会社の特徴の1つとして「◯◯みたいな採用したい」と言いがちなんだけど、会社のステージも課題も違うのに手法だけに目がいってるし、そもそもその真似したい会社は地道に積み上げてきて今に至っているんですよね。
— みほ☺︎森数美保 (@MihoMorikazu) October 17, 2019
採用に魔法はなくて、サボらずやる。愚直にやる。
凡事徹底!